福島県田村市(JCC:0717) 片曽根山

 
 

 福島県田村市は平成の自治体大合併で田村郡の船引町・常葉町・滝根町・大越町・都路村が一緒になり出来た新しい「市」です。 

人口はおよそ3万3千人。なだらかな阿武隈山地の中にあり、中通りと浜通りをつなぐ位置にあります。

 無線家にとって有名な施設としては、市の東端の旧都路地区にあるJJYの送信所の「おおたかどや山標準電波送信所」があげられます。

他にも鍾乳洞の「あぶくま洞」や「星の村天文台」「ムシムシランド」などの観光地も有名です。

 

  田村市は阿武隈山地の中でなだらかな山が多く、今回紹介させていただく「片曽根山」以外にも「移ヶ岳」「仙台平」など

移動に適した山があります。

 この片曽根山はそれほど標高はありませんが、独立峰で地元では「田村富士」とも呼ばれています。

標高は頂上で718mありますが、頂上までは車では入れません。

直下の標高697m前後の所に駐車場があり、そこで運用します。頂上は北側になり、そちら側はブロックされます。

他の東~南~西までの間、多くの方向の眺望が開けています。下の写真やCGビューなども参照ください。

この山はパラグライダーの方も多く利用されている山です。しかしその送迎用に利用される大型マイクロバスは

別に大型車用の駐車場がありますので、この頂上直下の普通車用駐車場でぶつかる事は無いようです。

駐車場は20台弱のキャパがあり、春の開山イベントの時以外は満杯になる事はほとんど無いようです。

 

  アクセスは磐越自動車道の船引三春ICが近いです。磐越道をいわき方面から来るならば、片曽根山のすぐ麓を通ります。

ICから駐車場までは全て舗装道で普通車で問題なく走れます。道もナビで問題なく案内してくれます。

現地で給油が必要でしたらICを出てすぐ片曽根山方向左側に24時間営業のGSがあります。

また食料調達でしたら、近くの船引の街中に複合スーパーがありますし、コンビニも数件あります。

 

  この片曽根山では直近では2023年9月末に、それ以前にも何回かクマが目撃されています。

以前は阿武隈山系にまではクマは出なかったのですが、大震災以後は目撃される事があるようです。

その事もあり、市役所の方も「暗くなってからの滞在はお勧めできない」と言っておられました。

更に車中泊派の方が注意しなくてはいけないのは、夜に向けて山を降りるにしてもこの近くには「道の駅」がありません。

ここはこの周辺にいくつかある道の駅のちょうど中間にあり、真空地帯となっている場所です。

夜の滞在を考える場合は早めに他の地区に移るか、事前に宿を探しておいた方がよさそうです。

 

  この山での電波の飛びに関してです。700mほどの標高がありますので、

当局は144・430・1200MHzのFT8のみ運用しました。非常に興味深い飛び方をしてくれました。

関西をはじめV・Uで西日本を狙うには、西方向の離れた場所に会津の山々や那須連山があり、いかにも山岳回折が使えそうに見えます。

しかしそれほどの効果は無かったように思いました。

むしろ南関東方面にダイレクトになる南~南南西に向けた方が、南関東はもちろん関西方面や中国地方までもが強くなりました。

こちらシングルの小型ビームでしたが、それでも144・430MHz共に関西と岡山県まで交信出来ています。

430MHzで交信いただいた岡山県の方も、「1エリアビームにした方が強かった」とレポートいただきました。

 

  この福島県阿武隈山系の南部には、もやさえなければ富士山が直視できる山がいくつかあります。

しかしこの片曽根山からは福島県最南部の低い山がかぶり見えません。

ただここからは福島県と茨城県の県境に鎮座する八溝山が見えます。この八溝山は高いバンドで山岳回折のキーになる山です。

まだ仮説の段階で他の場所からも実験を行ってみないとわかりませんが、南ビームはおそらくこの八溝山回折も絡んだものと見ています。

一番下の資料もご覧ください。

 

  この場所はNTT Docomoの携帯で十分圏内でした。またこの駐車場には仮設のものですがトイレもあります。

 

  この場所の北緯と東経を下に示します。

『』内の赤文字の部分をコピペして、グーグルアースかグーグルマップの検索の欄に埋め込んでいただいて検索ボタンを押せば、

画像が現地まで飛びます。またこの駐車場まではストリートビューも通っていますので、そちらも参照いただけます。

『 37°25'33.72"N140°34'00.35"E  』

 

 現地の拡大地図です。磐越自動車道のすぐ脇の山です。

 磐越自動車道最寄りのICは「船引三春」です。

 船引三春ICは、郡山JCTからですといわき方面に二つ目のICです。(郡山JCT→郡山東IC→船引三春IC)

 山に入って最初に目に入る看板。複数回の目撃情報があるのでしょうね。

 山道の途中にある箱罠。これはクマ用と言うよりはイノシシ用のサイズに見えますが、はたして

 頂上直下の駐車場のほぼ全体像。奥の方に簡易トイレが見えます。

 駐車場の一角から西南西方向のビューです。遠くの山は会津南部の山々と栃木北部の那須連山。手前の街は福島の中通り。

 駐車場から頂上への道は車止めがあり車では入れません。

 片曽根山から都心までの直線図です。

 片曽根山から都心までの断面図です。実際のV・U FT8での交信では大きなブロックは感じませんでした。

 片曽根山から大阪までの直線図です。

 片曽根山から大阪までの断面図です。実際のV・U FT8での交信ではこの方向ダイレクトより関東ビームの方が強かったです。

 片曽根山から南中心の広角のCGビューです。都市名は関東とその周辺のものをピックアップしています。

 片曽根山から関西方面中心のCGビューです。

 V・Uでの交信では関西・中国地方はダイレクトより南寄りの関東方面のビームの方が強かったです。

周辺の別の場所からの更なる確認も必要ですが、おそらく福島県・茨城県県境にある「八溝山」の回折が絡んでいるように思われます。

1000m級の独立峰である八溝山は、山岳回折のキーとなる山である事が以前から知られている山です。

テレビの電波がアナログだったころ、東京タワーから発せられた電波が八溝山を介してその北側の東京方面からその陰にあたる

矢吹町・中島村・玉川村などの一部では東京のテレビがよく見えていたという話も聞きます。

仮説ですが下の写真のように、片曽根山→八溝山→富士山→関西方面という回折・反射のルートがあったのではないかと推測しています。

片曽根山→八溝山は可視。 八溝山→富士山も可視です。

また福島県に訪問の機会があれば、この周辺の他の場所からも実験してみたいと思います。

片曽根山→八溝山は可視です。

鳥観図で片曽根山から八溝山方向を見た図です。小さいですが見えています。

八溝山→富士山も可視です。

 

鳥観図で八溝山から富士山方向を見た図です。良く見えていますが、実際はいつももやがかかる為冬場でないと見られません。

おまけの写真。ちなみにこの施設自体は田村市側にありますが、入り口は隣の川内村側にあります。NiCTの管理です。

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